「18. くつ下全体のご紹介」で、「つま先部分で一番広い部分については足の小指の周囲の寸法(幅)の約105%とし、その先は足の甲部分の周囲の約75%の寸法(幅)とし、足の底部分の長さは足の長さの約90%としています」とご説明させていただきました。ここからは私の足の各サイズ(小指の周囲:21.0cm甲の周囲:24.0cm足長:25.0cm)を例としてご説明させていただきます。各針のゲージは以下の通りです。

 4号針のゲージは目数が27.4段数が34.5(どちらも10cmの幅又は長さを編むために必要な目数と段数)

 3号針のゲージは目数が29.6段数が36.2(どちらも10cmの幅又は長さを編むために必要な目数と段数)

小指の周囲のサイズから目数を決める

 まず小指の周囲の寸法と目数を決めます。寸法は「21.0cm×105%=22.05cm」となります。ただしこれは全体の寸法ですので、靴下の片側はこの半分(22.05cm÷2=11.025cm)という事になります。

 つま先の編み始めから甲の周囲の編み始めまでは4号針で編みますので、小指の周囲の目数は「11.025(cm)×27.4÷10=30.20」となりますので、30目とします。

甲の周囲のサイズから目数を決める

 次に甲の周囲の寸法と目数を決めます。寸法は「24.0cm×75%=18.0cm」となりますので、靴下の片側はその半分の9.0cmという事になります。

 甲の周囲の編み始めからは3号針で編みますので、甲の周囲の目数は「9.0(cm)×29.6÷10=26.64」となりますので、26目とします。

足先の長さからつま先部分の段数を決める

 つま先部分は、(ア)つま先の先端から小指の周囲までと、(イ)小指の周囲から甲の周囲の編み始めの2つの部分で構成する事としています。

 (ア)の部分は上記「44. 自分のサイズの計り方」の③で計ったように約5.5cmとなるような段数としており、(イ)は小指の周囲の目数(30目)から甲の周囲の目数(26目)(2目ゴム編みの始まり)まで1段で2目ずつ減らす程度の段数としています。

 そのため、(ア)の部分は「5.5(cm)×34.5÷10=18.975⇒20段(=5.80cm)」としていて、(イ)の部分は4段(=0.29cm×4段=1.16cm)としています。この(イ)の部分は、「最後の2段で2目ずつ目を減らすので、その2段プラス2段程度かなあ」という程度にアバウトに決めております。

 私のゲージの場合、小指の周囲の目数が30目であり、甲の周囲の目数は26目です。別途「コラム 7」でも簡単にご説明させていただきますが、減らし目は連続した段でできます。表編みの場合には片側1目ずつ目を減らす事ができますので、30目を26目まで減らすには2段あれば十分です。

 私はこのくつ下で一番幅の広い小指周辺を長めにしたいと思いましたので、一番幅広の30目の段を少しでも長くするために30目の段を2段、その後の2段で30目を26目にするという事で、4段としただけです。ですのでここはご自分のサイズに合わせて、お好みで決めていただいよろしいかと思います。

つま先全体の形状を決める

 ここまでで、つま先の一番広くなる部分(小指の周囲部分)が30目で、つま先の先端から小指の周囲部分までの段数が20段(上記(ア)の部分)と決まりました。これらを元に、つま先の形状を決めていきます。私はここの作業には、下の写真のような方眼紙的なものをExcelで作って、手書きでつま先全体の形状を決めています。あまりきれいな写真ではありませんが、参考までにご覧ください。

 私はこうした図や、この後でご説明させていただきます「設計図」を作る時には、こすって消せるフリクションボールを好んで使っております。フリクションボールは色々な色がありますし、上からシャープペンで描いても消しゴムでシャープペンの部分は消せるもののフリクションボールで描いた部分は消しゴムでは消えないので、非常に重宝しております。ご参考まで。

 上記の写真では分かりにくいと思いますので、以下においてはExcelで作った部分的な図に基づいて、順を追ってご説明させていただきます。

① まず11.025cmという事で30目と決めた小指の周囲部分を、横線で描きます(黒線①部分です)。

② 次に5.5cmというという事で20段と決めた長さ分を、30目の線の中央から垂直に描きます(黒線②部分です)。

③ そして目数(①)と段数(②)に基づいて、長方形となるように3辺を点線で描きます(黒点線③の部分です)。

④ つまさきの形状を左右非対称とするので、親指側(この図は、左足の足の裏側から見た図となります。)で、小指の周囲の幅より3目分だけつま先側が少なくなるように、6段下(図では上側になりますが)から2段毎に1目ずつ、目が減るように線を描きます(赤線④の部分です)。

 なぜ「3目分」かと言いますと、「親指側は気持ち目数が減っている程度で構わないかな」という程度の理由です。減らす目数が0目とか1目だと、さすがに親指側が四角くなってしまいますので、2~3目程度減っていれば良いかと考え、3目としただけです。別に2目でも4目でも問題はないかと思います。ただ4目以上減らすと左右対称に近くなってしまいます。

⑤ 左上の小指部分から、2段毎に1目ずつ目が減るように、つま先部分まで線を描きます(赤線⑤部分です)。

⑥ くつ下の外周部分となる部分も、実線とします(赤線⑥部分です)。

⑦ 先ほどご説明しました「つま先部分の段数を決める」ところでアバウトに4段とした部分を描きます(赤線⑦部分です)。

 先ほどもご説明しました通り、小指の周囲の目数が30目で、甲の周囲の目数が26目ですので、単に目数を4目減らすのであれば、2段分で十分です。しかしながら私は小指の周囲部分にゆとりを持たせたいと思いましたので、更に30目分を2段加えて4段としております。ですので⑥の図から2目ずつ2段で減らす形としていただいても問題はありません。

 上記の通り①から⑥まで描くと、つま先の始まり部分は結果的に18目(6.57cm)となります。私のつま先の平坦な部分は約4cmなのでそれよりは長くなりますが、編み上がって履いてしまうと足にピッタリとした形となります。つま先の始まり(作り目)部分の長さについては、小指の周囲の目数(幅)と足先部分の段数(長さ)からこのように逆算的にアバウトに決めていただいて問題ないと思います。

 なお、なぜ目を増やす時は2段毎で、目を減らす時には連続した段でいいのかについては、「コラム7 目を増やす時と減らす時の違いについて」で説明させていただいております。また写真や図で見ていただきましたシートにつきましては「コラム8 市販のデザインノートと自作のExcelシート」でご紹介しておりますので、これらのコラムもご覧ください。