ここまでは折に触れてくつ下の編み図をご紹介させていただきましたが、私は自分で編む時には編み図は作りません。編み図を作るのは非常に時間がかかりますし、結構大きなものになってしまいますので、実際に編む時には見やすくなくなってしまうからです。
それに、そもそも最近までは編み図なんて作れませんでした。ですので教室で先生から口頭で教わった事を(部分ごとに)メモ書きして、そのメモに従って編んでおりました。その後編むうちに段々と部分ごとに簡単にかつコンパクトに自分でまとめる事ができるようになり、現在使っているような下の写真のようなもの(設計図と呼ばせていただきます)を作って編むようになりました。
この設計図は「自分用のくつ下の各部分の目数と段数の決め方(46~49)」でご説明させていただきました事(各部分の目数や段数)や、19~36まででご説明させていただきましたくつ下の各部分の編み方を、下の写真のようにA4版の紙にコンパクトにまとめたもので、都度手書きで作っております。
くつ下を編まれる際には、このような設計図を作ってから編まれる事をお勧めします。A4版で2つ折りにして使っており、小さいので編む時に邪魔になりません。ここではこの設計図についてご説明させていただきます。
以下の図は、いつもは手書きで作っている設計図をExcelで作ったものです。全体は見にくいかもしれませんが、以下ではそれぞれの部分の図でご説明させていただきます。
設計図の左ページ
設計図の右ページ
設計図の左側ページの各部分について
設計図の左側ページについて、部分ごとにご説明させていただきます。
設計図左側ページの左上には、使っている糸の種類、誰用のものか、糸の色などをを書いております。これは後になってくつ下の色を見てどんなくつ下を作ったかが分かるようにするためです。
また各部分には使う針の号数と、どのような編み方をするかも併記しております。「MIX」というのは、A針側をメリヤス編みとし、B針側を2目ゴム編みとする事としております。
基本となるサイズをメモする
まずは設計図右上の(1)にあるように、小指の周囲(私は「小指まわり」としております」、甲の周囲(私は「甲まわり」としております)、足長の寸法をメモし、それぞれ編む時に何%として何cmとするかをメモします。同じように、つま先部分の長さ(「つま先長」としています)と足長の寸法と編む時に何%とするかもメモしています。
ゲージをメモする
次に設計図の(2)にあるように、使う糸と針の太さに基づいて取ったゲージをメモしておきます。ここではコロポックルで4号針と3号針を使っていますのでこのようになりますが、使う糸はコロポックルに限定される訳ではありませんし、2種類の輪針としなくても構いませんので、お好みで使う糸と針の太さを決めた上でゲージを取っていただければと思います。
ちなみに私は実験的に編む場合にはコストを抑えるために、100円均ショップで買っている安いアクリルの糸を使ったりしております。コロポックルだと1足1,000~1,200円かかりますが、100円均ショップの安いアクリル糸だと200~300円程度で1足を編む事ができます。
私は色々なサイズを編み比べたので、実験的に編む時にはコストを抑えるために100円均ショップのアクリル糸を使っておりました。アクリル糸だと部分的な練習で使ったり、失敗作となったとしても、タワシとして使いまわす事ができます。ちなみに私は結構な数の部分的な自主トレを行いましたので、ウチには結構な数のアクリルタワシの在庫があります(苦笑)。
各部分の目数をメモする
次に設計図の(3)にあるように、採寸して%を決めた各部分の目数をメモします。私はまず(個人的に)一番重視している小指の周囲部分の目数と甲の周囲部分の目数とつま先長の段数をメモして、その後で「46. つま先部分の目数と段数を決める」でご説明させていただきましたように、つま先全体の形状を決めた際に最後に結果的に決まったつま先の作り目の目数をメモしています。
足長部分の段数を部分ごとにメモする
次に設計図の(4)にあるように、足長部分の段数をメモしていきます。
① まずはつま先部分(「つま先」としています)の段数(20段)をメモします(①部分)。
② 次にカカト前半部分の段数(17段)をメモします(②部分)。
③ それから小指の周囲から甲部分に向けて目数を減らす段数(4段)をメモして(③部分)、カカト前半に入る前の段数(5段)をメモします(同じく③部分)。
④ そして編むべき足長の長さから、これまでに決めた部分の長さを差引いて決めた、2目ゴム編みで編む部分の段数(35段)をメモします(④部分)。
このように、つま先部分の段数とカカト前半の段数はしっかりと決めますが、それ以外(つま先の目を減らす部分とカカト前半に入る前の部分)の段数は適当に決めていただいて結構です。これらの段数が決まったら、後は差引きで2目ゴム編み部分の段数を決めるというように、決めていただければ良いかなと思います。
各段での段数の右側には、その部分の長さをメモしています。これは途中所々で編み終わった部分までの長さを計って、当初のゲージ通りとなっているかどうかを確認するためです。「45. ゲージの取り方」の所でもゲージの難しさをご紹介しましたが、同じ糸と同じ針で同じ物を編んでも、時として当初のゲージ通りに編めていない事があります。
これはどうしようもない事と割り切って、下の写真のように途中所々で長さを計って(私はカカト部分の手前までで4~5回は計っています)、設計図より短い時には「胴2」部分で段を少し多めに、設計図より長い時には「胴2」部分で段を少し少な目に編んで、全体の長さ(足長)が合うように調整しています。
私の場合たまにではありますが、左足と右足で段数が異なる事もあります。大師匠や私の先生がセーターを編まれる時の方法に倣って、私はこのように途中での段数を調整しています。ご参考まで。
履き口(足首)部分の長さを決める
この部分は更にアバウトで構いません。編む前に決めていただいても構いませんし、編みながら適当にしていただいても問題ありません。編まれる方のお好きな長さとしていただければと思います((5)部分)。