カカトの前半部分の長さは、結構適当に決めています。足の裏のどこからどこまでが「カカト」なのか良く分からないので、「大体4~5cmぐらいかな」という程度の考え方で、間をとって4.5cmぐらいとしています。
ですので段数は「4.5cm×36.2÷10=16.29」となり、17段としています。カカトの前半部分は、カカトの後半部分との兼ね合いで、必ず奇数段とします。「カカトの後半部分との兼ね合い」については、下の略図をご覧下さい。
なおガゼットヒールの場合には、カカトの前半の目数と段数が決まってしまえば、カカトの後半はそれらに伴って自動的に決まる事になります。
これは「28. カカト部分の前半(ガゼットヒールの前半)」でご説明させていただきました全体を、「カカトの後半部分との兼ね合い」のために簡略図的に表したものです。実際に編む際には17段なのですが、1段目と2段目、3段目と4段目というように2段ずつひとまとめにしたものです。黒枠の部分はA針で編む部分で、赤枠部分はB針で編む部分になります。
略図の(1)の部分をご説明させていただきますと、「A針のメリヤス編みで両側で1目ずつ増やし目をして28目となり、B針ではそれまでと同じ26目を2目ゴム編みで編み、もう1段A針で28目メリヤス編みして、B針で26目を2目ゴム編みで編む」という事を表しています。略図の左側のA針部分では、両側で目数を1目ずつ増やす事になります。
「29. カカト部分の後半(1段目と2段目)」の1段目と2段目のところでそれぞれ「19目残るように編みます」とご説明させていただきました。なぜ19目なのかと言うと、「9×2+1=19」となるからです。
カカト部分の前半は実際に編むと全部で17段ではありますが、上の略図でいうとカカト前半部分は「9セットのかたまり」(1セットから8セットまでは2段ずつ、最後の1セットだけは1段)で構成される事になります。カカト部分の後半の1段目と2段目で「何目残るように編めば良いのか」は、「セット数×2+1」で計算される事になります。
ガゼットヒールはこのようにカカトの前半部分の段数を必ず奇数として、カカトの後半部分の1段目と2段目に残す目数を、上の略図で表すように「セット数×2+1」とします。このくつ下の場合ですと、カカトの後半の1段目と2段目で19目(=9セット×2+1)ずつ残るように編んで、その先は「ひっくり返して1目すべらせ、(前の段の)すべり目の1目前まで編んで、すべり目とその次の目を2目一度として、もう1目編む」と続けていけば、自動的に18段目(=9セット×2)でカカト上部分まで編み上がる事になります。
例えばカカト前半部分を小さくして(1)と(2)を割愛して「13段」とすると、カカト後半の1段目と2段目で残す目数は「7(セット)×2+1=15目」となり、カカト後半の1段目と2段目では15目残るように編むと、14段目(=7セット×2)でカカト上部分まで編み上がる事になります。
逆にカカト部分を大きくしてもう4段分長くして「21段」とすると、カカト後半の1段目と2段目で残す目数は「11(セット)×2+1=23目」となり、カカト後半の1段目と2段目では23目残るように編むと、22段目(=11セット×2)でカカト上部分まで編み上がる事になります。
足の小さい女性であれば、このカカト部分は15段とか13段(8セット又は7セット)ぐらいかなと思いますし、私(25.0cm)より大きいサイズの方であれば19段とか21段(10セット又は11セット)程度で良いかなと思います。大体女性であれば13段か15段か17段、男性であれば15段か17段か19段か21段としていただくのが良いかなと思います。もちろんご自分で定規を当ててカカト部分の長さを計って決めていただいても構いません。
ここではカカトの前半部分は17段としましたので、長さとしては4.69cm(=17段×0.276cm)となります。
このようにある部分の段数や目数を決めてから他の部分の段数や目数を逆算で決める場合には、1目・1段の寸法が分かっていた方が計算が簡単になりますので、私はゲージを取る時に1目・1段の寸法も併記しております。