「すべり目」は実に簡単です。①左針の目の右側から右針を入れます。そして②そのまま左針からその目を外します。これで終わりです。単に左針の目を右針に移しただけです。ただポイントは、目の右側から右針を入れるという事です。これは表編みの時でも、ウラ編みの時でも同じです。

表編みの時のすべり目

① 表編みの時のすべり目は、左針の目に右側から右針を入れます。

② そのままその目を左針から外します(そしてその後は表編みを続けます)。これが表編みの時のすべり目です。

ウラ編みの時のすべり目

① ウラ編みの時のすべり目は、表編みの時と同様に、左針の目に右側から右針を入れます。

② そのままその目を左針から外します。これがウラ編みの時のすべり目です。

 この「すべり目」は、くつ下のカカト部分を編む時などに使います。

 「すべり目」をすると、しばらく編んだ後でどのように見えるのかについてもご説明させていただきます。これまでと同じ針と糸だと分かりにくかったので、この後でくつ下を編む時の針と糸でご説明させていただきます。実際にくつ下を編む時にはこのように見える事になります。

 分かりやすいように、すべらせる目にマーカーを付けました。そしてすべり目をしてからしばらく編んだところが下の写真です。

 表側(表編みの側)からすべり目をしたところ(上の写真です)を見ると、すべり目と、その手前の表目との間が空いているのがお分かりいただけると思います。

 そしてひっくり返して裏側(ウラ編みの側)から見ると(下の写真です)、すべり目とその次のウラ目との間が空いているのがお分かりいただけると思います。

 すべり目をする場合には、その段を編み終わって、ひっくり返して逆側から編む場合に、「すべり目の1目手前まで編んで~」というように編む事になります。

 このブログでは常に「〇目編みます」というように、段ごとに必ず編む目数を記載しますが、時として何目編んだか分からなくなってしまう場合があります(私は結構忘れてしまいます)。

 そうした時に、「すべり目をしたら、逆側から編んだ時すべり目とその次の目の間が空いている」という事さえ覚えていれば、途中で編んだ目数を忘れてしまっても、正しく編む事ができます。

 くつ下のカカト部分を編む時に覚えておくと便利な事ですので、ご紹介させていただきました。

 すべり目の編み図記号と併せて、もう少しすべり目についてご説明させていただきます。例えば表編みのすべり目の時の写真では11段目を編んでいたとして、5目めをすべり目としたとします。そうすると、1目めから4目めまでと6目め以降は全て11段目として編んでいますが、すべり目をした5目めだけは単に10段目の5目めをそのまま右針で取っているだけですので、1段下の目を引き上げた形になっているのがお分かりいただけるかと思います。なお表編みと裏編みのすべり目の編み図記号は下の通りです。

 すべり目も減らし目と同じように、ウラ編みの時にはアンダーバーが付いています。そして、下の段と上の段とに跨った形の記号となっています。これは下の段の目を上に引き上げた感じを記号にしたんだなあと、個人的に理解しました。でもそうなら、V字ではなく逆V字形で山形になっていた方が個人的にはイメージが合うなあと思ったりしましたが。